yn2011's blog

技術メモ

「勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」」を読んだ感想

前回の記事に続き、プロゲーマー本シリーズ。今回は勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」を読んだので感想を書く。最近、自分語りの投稿が増えているのはリモートワークが続いていることと何か関係あるのかもしれない。

成長が目的

  • ときど氏が「ゲームを通じた交流」をモチベーションにしていたのに対して、梅原氏は「自身の成長と人生の充実」こそが目的であるとしているのが対照的
    • ゲーム自体は手段に過ぎない
    • 成長を楽しむという目的で割り切って何かをするのも確かに楽しそう。例えば競技プログラミングは、言語はC++*1だし、複雑なアルゴリズムや数学的な考察は実生活では特に役に立たないので*2モチベーション湧きにくいけど、人生を充実させるための趣味と捉えれば別にいいのかもしれない。(むしろゲームよりは遥かに収入に結びつきやすい競技ではある)

お金が目的の人にとっては、効率の悪い努力とか、荒波に揉まれる経験は必要ないのかもしれない。お金さえ手に入れば、自分自身の成長などなくても満足なのだから。

梅原大吾. 勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.972-974). 小学館. Kindle 版.

僕はゲームを楽しみたいとか、ゲームで勝ちたいとか、その程度の気持ちではなく、もう少し別の次元で物事を考えている。やはり、ゲームはあくまでもゲームで、本当の目的は自分自身の成長にある。だから、あえて暗くて険しい道を行く。

(Kindle の位置No.1063-1065). 小学館. Kindle 版.

ゲームを通して自分が成長し、ひいては人生を充実させる。いまは、そのために頑張っているんだ、と。

(Kindle の位置No.1646). 小学館. Kindle 版.

何度か書いてきたことだが、いまの僕は日々の成長、継続に喜びを感じている。そうやって毎日、一歩一歩進んでいる。

(Kindle の位置No.1526-1527). 小学館. Kindle 版.

目標と目的の違い

大会で勝つこと自体を目的にするとろくなことはない。少なくとも僕の場合、結果だけを求めて出場した大会で良い成績を残せたことはない

(Kindle の位置No.1634-1635). 小学館. Kindle 版.

大会というのは、日々の練習を楽しんでいる人間、自分の成長を追求している人間が、遊びというか、お披露目の感覚で出るものではないだろうか。大会における勝利は目標のひとつとしてはいいかもしれないが、目的であってはいけない

(Kindle の位置No.1642-1645). 小学館. Kindle 版.

  • 受験、資格試験、転職なんかにも言えそう。それは目標なのか?目的なのか?
    • 受験(入学)や転職(入社)は目的化してはいけないものの典型だろうなという実感がある
    • 自分も大学受験(入学)は完全に目的化していて、大学生活で何をしたい・どう過ごしたい等は全然想像していなかった...
    • 本当は、自分の興味関心を追求する勉強の通過点であるべきなんだろう
      • 当時の自分は勉強が好きというよりも、テストの点数という「結果」と他者との「競争」、それを通じた「成長」が好きだったのかなとも思う*3
        • でもここをもっと掘り下げると、実は梅原氏と同様に自分に対するコンプレックス、疎外感、アイデンティティの確立みたいなものが関わっていたようにも思えて、なかなか深い。それはまさに、格ゲーで対戦相手を"倒す"こと、強さを求めていた以前の梅原氏の行為と本質的には同じことなのかもしれない

勝っても喜ばず、負けても落ち込まない。結果はあくまでも結果で、自分にとってはもっと大事なことがあるから、どちらにせよすぐ忘れる。

(Kindle の位置No.1812-1813). 小学館. Kindle 版.

何かを目標に、ある一定の時期だけ頑張っていると、目標がすべてになってしまう。そして、目標を達成できなかったときに立ち直れなくなってしまう。

(Kindle の位置No.1862-1863). 小学館. Kindle 版.

  • 梅原氏は、自分のモチベーションが低下して何もしたくなくなることに対する恐れみたいなものを持っている印象
  • 自分も勝ち負けに拘らず、求道者といった感じの生き方を志向していきたい(とはいえ、梅原氏は「飽きるほど勝ってみないとこの感覚は分からないかもしれない」とも講演で話している)

基礎を学ぶ

何かを身につけたいと思うのであれば、丁寧に、慎重に、基本を学ぶべきだ。下手なうちから独自の取り組み方をしたり、自由に伸び伸び練習したりすると、最終的に底の浅い仕上がりになってしまう。少なくとも2年、あるいは3年、基礎を学ぶ必要がある。自分の我を通すことなく、セオリックなことを学ぶべきだと考えている。

(Kindle の位置No.1216-1219). 小学館. Kindle 版.

  • ときど氏が「世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0」でも同じことを書いていた。"丁寧に・慎重に"という部分が印象的。
  • 麻雀は2年ぐらいはまったく成果が出ていなかったそうで、さらっと2年とか書くけど成果でないまま2年は相当辛いと思うので凄い。

継続

毎日、60の幸せを手にするため、作業しているとき以外は逆に自信を持って休むことが大切だ。明日の英気を養うことも、継続的な努力の内なのだから。時間を費やすことだけで努力している気になる人が多いが、限界を超えて打ち込んでも成果は上がらない。1日6時間なら6時間、3時間なら3時間と時間を決めて、集中する方がいい。そして後は自信を持って休む

(Kindle の位置No.1845-1849). 小学館. Kindle 版.

  • これも「世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0」と類似の内容で、ON/OFFの重要性はやっぱり普遍的なんだろうな

嫌悪感

だけど正直、みんなから孤立してゲームを追求するというのは、なかなかどうして辛かった。しかし、ゲームが好きという気持ちを裏切ることはできなかった。

(Kindle の位置No.269-271). 小学館. Kindle 版.

中学卒業のとき、高校卒業のとき、進学先や就職先を決めていく同級生を見ながら、ゲームしかない自分への嫌悪感を拭うことができなかった。

(Kindle の位置No.1440-1442). 小学館. Kindle 版.

  • 梅原氏も当然に1人の人間なんだと思わせる一節
  • 自分もプログラミングは好きだと思うが、やはり他者と自分を比較して、嫌悪感とまでは言わないが、孤立感や、本当に自分はこれでいいのか?と自問自答して憂鬱になったりといった経験はある
  • しかし、プロゲーマーになった後の梅原氏は、ゲームしかない自分が世間から認められることで自身を肯定できるようになったとのこと
    • 自分は何か世間から認められているというわけでもないけど、最近は自分の生き方を他者と比べるようなことはあまりしなくなった。結局、人間はその人らしく生きることしかできないし、それが1番幸せなのかなと思っている

*1:選択は自由だが実質C++デファクトらしい

*2:上位層になるとそれを仕事に活かせるかもしれないけど

*3:逆に純粋に興味があったのは英語、数学(代数系)、歴史(幕末~)ぐらいで偏りあるし、好きな分野だけでコンスタントに試験で得点することは難しい